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CONCEPT

IDEA and CONCEPT

私がソフトウェアとサービスの開発に携わりはじめた1990年代初頭、開発者たちは日々の業務に明るい未来を感じていました。この時代、OSや通信プロトコルの標準化が進み、ソフトウェアとサービスは世の中を変える原動力へと変貌を遂げたのです。しかし、開発を手がけるほど私は限界を知り、こう確信するに至りました。“ともにハードウェアを手がけなければ、創造的なプロダクトを生み出せない”と。開発者の方々なら、きっと共感してくださるでしょう。しかし、実行には大きなハードルがそびえてしまったことも、おそらくご理解いただけるはずです。

コンピュータシステムが高度化すると共に、プラットフォームとしての完成度も高まりました。モジュラー化されていくアーキテクチャの中で、開発者たちは自らの専門分野を深化させると共に、業務スケールを拡大させ、プラットフォーム導入の正しさを再認識しました。しかし一方でデメリットを指摘しなければなりません。自らの領域に没頭できる環境が、やがては開発者の想像力を奪っていったのではないでしょうか。プラットフォームが成熟すればする程に、少なからずの開発者が“垣根を越えること”の困難さをおそれ、垣根の向こうや全体像を思い描く機会を手放していきました。実は、私自身もその一人だったのです。

しかし、ある日私は“オートマタ”に出会いました。簡単に言うと、これはゼンマイ仕掛けで動く“からくり人形”であり、初歩的なプログラムを搭載したロボットの先駆けでした。開発者たちが忘れた“ハードウェアとソフトウェアの創造的融合”に200年前の先人たちは果敢に取り組んでいたのです。しかも、彼らの作品は当時の人ばかりでなく、21世紀の子供たちを惹きつけるほどに魅力的な存在でした。美しいオートマタに私は強い衝撃を受け、こう考え直したものです。かつて実現できたものが21世紀に不可能なはずはない、と。

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